"The Great Communicator" Ronald Reagan

週刊誌はコンビニで簡単に立ち読みができるので気になるテーマのものは目を通すようにしているのだが、最近は東洋経済を手に取ることが多くなってきた。

扱うテーマが読みたいアンテナにヒットするというのもそうなのだが、理由はもうひとつあって読みたいコラムがあるから。野口悠紀雄氏が寄稿している「変貌をとげた世界経済 変われなかったニッポン」というのがそれ、巻末近くにあるやつ。これを読むのが毎回ちょっとした楽しみになっている。

第24回の今回は第40代合衆国大統領ロナルド・レーガンだった。
俳優から政治家、そして大統領になった人ですね。

君たちが皆、共和党員だといいんだが

レーガンについては元俳優の政治家であることやレーガノミクスという単語を聞きかじっていただけでまるで何も知らなかったのだが、今回のコラムを読むとすごくおもしろい人物だったことがわかる。

最も有名な逸話はレーガンが就任直後に狙撃されたときの話。このYouTubeの映像がその狙撃シーン。YouTubeにはなんでもあるなぁ。

U.S. President Ronald Reagan assassination attempt.

この狙撃で重傷を負ったレーガンは手術室へと運ばれるわけだが、そのとき担当医師とかわした会話が、

Reagan: I hope You're all Republicans.
Doctor: We're all Republicans today.

「君たちが皆、共和党員だといいんだが」
「今日だけは共和党員になります(実際は民主党だった)」

なんという状況の把握力!理屈抜きにして尊敬の念をおぼえます。きっと担当した医師もそう感じたはず。

年齢の問題を政治的な争点にするつもりはない

もうひとつは二期目の大統領選での公開討論会かな?での逸話。

ある記者から年齢の問題を指摘されたときのレーガンの受け答えが、そりゃもうすげぇの一言。

Reagan-Mondale debate: the age issue

ボルティモアサン記者:あなたはすでに歴史上最高齢の大統領です。モンデール候補との討論の後、大変疲れた様子だったとあなたのスタッフは話しています。ところでケネディ大統領はキューバ危機の際に何日も眠れなかったそうです。そうしたことになった場合、あなたのように高齢だと激務に耐えられないということはないでしょうか?
    

レーガン:そんなことは決してありません。私は年齢の問題を政治的な争点にするつもりはありません。したがって私は対立候補の若さと、経験のなさを政治的に利用しようなどとは考えていないのです。

映像を見ればわかるように、レーガンの発言に会場が完全に飲まれてしまっている。
リーダーとして人を束ねる才能、魅力ってこういうことなんでしょうね。すごく不思議な人物だ。

レーガン最後のメッセージ

そんなレーガンであるが大統領二期目を終えた後は、アルツハイマー症であることを自ら公言して政治の表舞台からは完全に姿を消してしまう。
その闘病生活の工夫のしかたがまたおもしろくて、ロサンゼルスの自宅に大統領執務室を再現してそこで「執務」を行っていたといわれている。元気だったころ、記憶がはっきりしているころと同じことをすると、体もそのように反応するのかと。

レーガンからの公への最後のメッセージ

I now begin the journey that will lead me into the sunset of my life.
これから私は人生の終焉へと向かう旅にでかける。

死を扱うものにも関わらず、なんてキラキラした言葉なんだろうか。