ムタワ、スタバで夫婦以外の組み合わせを見抜く

油の国で知られるサウジでは女性は極端に不利、という話。

サウジアラビア、コーヒーショップで打ち合わせをした女性を逮捕
【2月11日 AFP】女性が親族以外の男性と公の場で2人で会うことが禁じられているサウジアラビアで、コーヒーショップのスターバックスStarbucks Cafe)で男性と仕事の打ち合わせをした女性が同国の宗教警察に拘束された上、衣服などを脱がされて取り調べを受けた。同国の英字新聞アラブ・ニュース(Arab News)紙が前週、報じた。

 同紙によると女性は40歳の金融コンサルタントで3児の母。4日にスターバックスの首都リヤド(Riyadh)市内の支店内の家族用コーナーで、仕事相手の男性と打ち合わせを行っていたところを、布教・指導省の職員によって拘束された。厳格なイスラムの道徳規範に基づくサウジアラビアの法律では、親族以外の女性と男性は公共の場で同席することが禁じられている。

 本人の証言によると、女性は拘束された後にリヤドの拘置所へ連行され、衣服を脱がされて取り調べを受けた上、違法行為を行ったことを認める供述書に署名することを強要された。女性は「命が危ないかと思った。虐待されるか何かされるかと思った」ので、署名するしかなかったという。数時間後に夫が駆け付け釈放されたが、夫は目にした様子を「暴漢に捕まったかのようだった」と非難した。同紙によると、打ち合わせをしていた相手の男性はシリア人の金融アナリストで一緒に拘束されたままだという。
(以下略)

なにが問題なのであろうかと思うわけだが、文化の違いの問題であるのだけになかなか難しい問題である。
にしても裸にして取り調べる必要があるのか?
普段は露出のある女性がいないかを超厳しく取り締まってるのに、取り調べのときは逆なんだ。へー。

こうした取り締まりをおこなっているのはムタワと呼ばれる宗教警察。
イスラム法シャリーア)に忠実な生活を推進する組織で、違反すれば上の例のように問答無用で逮捕する。逮捕されたが最後で、「被告」を弁護する弁護士(女性の人権問題にはやっぱり女性弁護士が登場する)が抗議しようものならその弁護士に対しても資格剥奪・国外退去という強権が発動される。
なんでもアリといった感じで、女性にはとことん厳しい。裁判するのも必死ですな。

サウジの裁判といえば、子供を死なせてしまったメイドさんの話が有名。
赤ん坊にミルクを与えていたら気管を詰まらせてしまい、救命措置をとったものの死亡。それが事故死ではなく殺人ということになり公開斬首刑というやつ。公開で、というのがすさまじい。サウジの法律には過失致死と殺人の区別がないため、このような場合でも殺人扱いになってしまうようである。うーむ、世間的には死刑は行き過ぎだよねとなりそうなものだが*1、文化の壁は高いことを実感させられる。

というか、こういうどんな理由があれ言い訳が通用しない実態を当然知っているハズなのに、スタバでコーヒーを飲むというリスクをとったことがおもしろい。日本の交通取り締まりみたいなもので、実際には守ってない人が多数で「運悪く」捕まってしまったのではなかろうか。
だってスタバでコーヒー飲みながら仕事の話してるだけでは、夫婦なのかそうじゃないのかなんぞ分かるはずがない。「身分証明書をみせるんだ!」といわれて「うぅっ…」となったのでしょうな。

*1:亡くなられた赤ちゃんの親御さんは別として