郵政民営化とJPタワー

オリックスへの一括譲渡がほぼ決まりかけていたかんぽの宿の売却を有無をいわせず白紙撤回させた鳩山総務相が、今度は東京中央郵便局の立て替えに反対して世間を騒がせているようだ。

鳩山総務相「国辱もの」 旧東京中央郵便局を視察
 鳩山邦夫総務相は2日、再開発工事が進んでいる東京駅前の旧東京中央郵便局を視察し、重要文化財の価値がある建物を「米国流の利益追求主義で壊してきたのは国の恥だ。国辱ものだ」と語った。日本郵政の全株式を保有する株主として、再開発の中止を求めていく考えを改めて示した。

この件についてはかんぽの宿問題が冷めやんでいないだけに関心も高く、各所で様々な視点から検証がなされている。
官から民へ(後編)  組織の攻防
「米国流の利益追求主義」とは何だろう?〜歴史的建造物の保護について雑感

なんでこの建物だけ?

と思ったのである。記事を読んでまず考えたのはそれ。
建築ギョーカイな話をすれば、たしかにこの東京中央郵便局は日本の近代建築史を語るうえで避けては通れないです。ギョーカイな方であれば「日本初のモダニズム建築」という短い一文とともに、ほとんどの方が覚えておられるのではなかろうか。そのへんの詳しい話はこういうところにまかせて、ようは確かに歴史的な建造物ではある。

だがこの三菱村一帯*1はそもそも歴史的建造物だらけなわけで、東京中央郵便局みたいに建築史の教科書に出てこないとはいえ、その当時の時代を象徴するような建物が他にもある(あった)。「初の〜〜」といった位置づけの重要性が高い東京中央郵便局よりは、むしろ既に建て替えられた丸ビル三菱地所)とか、1年くらい前に取り壊された三信ビル三井不動産)とか、本当に雰囲気をもった建物の保存をしてもらいたい(して欲しかった)のだが、こういうのは反対しないのね。一部すらも保存せずに三信ビルを取り壊したことはもうほとんど異常としかいいようがなく、歴史的建造物うんぬんと言うならまずこの三菱村一帯に建築制限かけろよと。

On Goingな話であれば、銀座の歌舞伎座(松竹)がこれからまさに取り壊して再開発が行われる。歌舞伎座も東京中央郵便局と同様に歴史的価値のある建造物であるが、これには反対しないようだ。最近銀座を歩くとほぼ必ず外人さん達が歌舞伎座の前で写真を撮っているし、なぜ日本人は歌舞伎座を取り壊すのかとBBCから記事まで出ている。
Tokyo's demolition drama
国辱というのであれば、こちらの方が海外の関心も高く問題なのは明白。

脚を引っ張るのはやめにしないか。

テーブルの下で何を渡して欲しいのか、愛犬だか愛鳥だかのエサにといって何本必要なのかは知らんが、それらしく言いつくろって郵政にからむのはもうやめにしないか。民営化なんていう誰も受けたがらない、でも誰かがやらねばならない仕事を西川社長は受けたんだ。邪魔すんなよ。

*1:とかいて「丸の内」