ブロンズ像をめぐる思惑

最近その成り行きにアンテナを張っていたブロンズ像問題は強奪対強奪という図式であった模様。これは俄然行く末が楽しみになってきた。フランスと中国がどう打って出るか目が離せない。

クリスティーズ社の大株主はチベット独立勢力の支援者
西蔵チベット)独立」勢力と「国境無き記者団」を長年支援している仏の大富豪フランソワアンリ・ピノー氏が、円明園から流出したブロンズ像が出品された今回のオークションの主催者、クリスティーズ社の大株主であることが消息筋からの情報で明らかになった。「環球時報」が伝えた。

 これと同時に、クリスティーズ社の声明とピエール・ベルジェ氏のいわゆる「中国の人権改善とチベット独立がブロンズ像返還の交換条件」という発言が仏週刊誌「Le Point」で発表された。この週刊誌もまたピノー氏が出資している。

それオマエラが略奪したんだろ、だから返せよ→オマエラも略奪してるだろ、チベット返せよ。

素晴らしい。

まずは自らエサに飛びつかせ、逃げられなくした上で本題を切り出してくる。このフランスの手腕とセンスには脱帽する。外交、国際政治とはかくありなん。ゲルマン人に追われたりしてた時代から、宗教にしか見えない巨大な集金システムを築きあげてきた歴史と知恵が、こういう場面で脈々と続いている感じが非常に感慨深い。

日本にも朝廷・皇族・公家なんていう脈々してきたものがあるにはあるが、外交含む重要局面でフランスがやるみたいな手練手管は、使われこそすれ使うことはできない。第二次大戦を境に権威の象徴が文字通りの象徴となってしまったことで、蓄積された知恵の継承が一度プッツリ途絶えてしまったと思われる。
そんなことを考えていたら、こないだのオバマ大統領の就任式のときの

聖書の上に手を置いて政教分離を誓う国だぜ?

という誰かのコメントを思い出した。核心を突きすぎだろうと。