インターネットでの薬の販売規制について

これはネット販売へのイジメだといわれても仕方ないというか、そこに目的があるのだろう。
楽天の三木谷さんが気炎を吐いて猛反発していて、いま楽天でなにかを購入すると、もれなく三木谷さんから規制反対の署名をお願いされます。突然画面に三木谷さんがどどーんと出てきます。
正直なところネットで薬が買えるということをまず知らなかった。気づいてないだけで世の中は便利になってるのだ。薬は買うのが大変というか店頭で買うのが結構めんどくさいのだよね。薬局にはコンビニほど頻繁にいくわけでもないし、帰宅途中にコンビニにはよれても薬局は閉まってる。結局遅い時間まで営業してるマツキヨで買うのだが、近くにマツキヨのないエリアは本当に大変だと思う。

なにが規制されるのか

現在ネットでも販売されている薬(大衆薬)の薬67%が、今回の規制で販売できなくなるらしい。で、どんなものが規制されるのかというと、楽天の署名運動ページにちゃんと例がのってます。
規制される薬の例(ページの中ほど)
ガスター10、ルル、コーラックニコレットとかです。これらがなんで規制されるかというと

「対面販売が何よりも安全を担保する」(全国薬害被害者団体連絡協議会の増山ゆかり氏)

てことらしいんだけど、理由になってないよねそれ。もし本当にそうなんだとしたら、まず最初に服用の仕方によっては副作用が発生しかねない薬とそうでない薬を分類すべきだし、そもそも場合によっては副作用が発生するのであれば購入許可が必要にするか禁止にするのが民間でいうところの「解決法」だろう。インターネット=危険、という前提ありきの議論はよろしくない。
処方箋・医師の許可が必要な薬ならまだしも、ガスター10とかは薬局で誰でも買うことができるし、なにか確認されるわけでもない。たとえ小さな子供が「それ下さい」って言ってきたとしても薬局側は売るだろう。ましてや使い方の説明なんか受けたことがない。
店頭での対面だと「こういう症状なんだけど、いい薬ありますか?」ってきけるのは便利だし、中には本当に服用の仕方に注意が必要なものもあるだろう。でも今回の規制はそういう薬を対象としたものではなくて、むしろ楽天のページで紹介されていたような「売れる薬」を対象としている。

大衆薬市場は1兆2000億円規模

危険度に応じて1類から3類に分類される大衆薬のうち、今回の規制では風邪薬や胃腸薬を含む1類と2類のインターネットでの販売ができなくなる。ネットでの販売規制だけが大きく取り上げられているが、実はひっそりとコンビニなどでの2類、3類の販売は制限付きで可能になっている。つまりコンビニなどの小売り・流通業が今後この市場に参入してくるということだ。それだけ利益が見込まれる分野であるということで、三木谷さんがなんとしても規制撤回を目指す理由も当然ここ。
今回の販売規制に関して日本薬剤師会などが共同声明を出したりしてるけど、「元厚生省」な人がたくさんいそうな名前がズラリと並ぶ。大衆薬市場が厚生省にとっていかに手放したくない大きな利権であるかがわかります。その有望市場に新しく利権をくれそうなプレイヤーがうまいことでてきた、セブンイレブンとかイオンとかがね。その新利権を最大化するにはどうしたらよいか→ネット販売分をコンビニ・スーパーにまとめてまわせばよくね?という規制の発想に、この国の官僚のなんたるかが表れてる。
三木谷さんが厚生省と水面下で手を握るかどうかはわからないが、小さな薬局の集まりでしかないネットでの大衆薬市場は厚生省にとってみれば自分でとりまとめる必要がある上にめんどくさい。

ユーザー側からすれば、ネットでも買えてコンビニでも買えるていう状況が一番理想的。

これは当然そうだろう。ネットで買えば配送時間が必要になる。あらかじめわかっている薬であればいいけど、突然必要になった場合はコンビニに駆け込めばOKというのはすごい安心感がある。
ユーザ側の便益ではなくて自分達の利権にあわせて規制を操作する、それに合わせて生活がつくられていくのはいかがなものか。